
誰かだけ良ければいいってことじゃなくて、みんなが喜べるようにならなきゃいけないんですよね
新店舗の工事に来ている大工さんと現場に行ってよく話すんですけど、世間話をしている時に『ここのボードはピシッとやらなくてもクロス貼るからいいんだけど、俺らがピシッとやっておけばクロス屋さんが貼る時に楽だからなぁ〜』って大工さんが言ってたんです。
自分の仕事を終わらせるだけって考え方もあるけど
ボードを貼るっていう作業なんだけど、中には自分の仕事はここにボードを貼ればいいってだから、仕上がりなんて気にしなくてもクロス屋さんが貼ってくれるって考え方だってあると思うんです。でも大工さんはどうせやるならピシッとやって、次の作業に入るクロス屋さんが楽なようにしてあげた方がいいと考え、プライドを持って仕事をしてたんですよね。もしかしたらクロス屋さんが貼るのが楽なようになんて考えてやってる事は、クロス屋さんに伝わってないかもしれないけど、そこは大工さんの職人魂なんでしょうね。
当時を思い出すと申し訳ないです
そんな時に思い出したのがラグビーでよく言われる【One for all, all for one(一人はみんなのために、みんなは一人のために)】って言葉でした。ラグビーのことはスクールウォーズっていうドラマで知ったのと、大学の授業でやった程度の浅はかな知識なんですけど、そんな僕でも上の言葉は知っていますし知ってる人も多いんじゃないですかね。
僕も酒屋としてやらせてもらってますけど、結局は造ってくれる蔵元さんやメーカーさんと、買っていただくお客様がいなければ成り立たない物販商売です。酒ディスカウント店だった時は問屋さんから仕入れてましたけど【1円でも安く買って他店よりも1円でも安く売る】って考え方しかなかったので、問屋さんやメーカーさんと値段交渉をし、1円でも下げてもらえれば手柄を手に入れた感覚で、その1円をお客様に還元するのが正義だと思ってました。もちろん個人店としては結構な数量を売ってたと思いますけど、価格交渉しかしないから問屋さんやメーカーさんでウチ(僕)を嫌っていた人は多かったんじゃないでしょうか。言い訳ですけど当時はそれしか生き残る方法がわからなかったんです。
ウチの仕入れ価格を1円安くしたところでメーカーさんや問屋さんが潰れてしまうことは無かったとしても、もしかしたらその1円分がどこかにしわ寄せがきてたんですよね。社員さんの給料であったりボーナスであったり、配送費削減とか目に見えない部分で逼迫してたかもしれないです。
One for all, all for one
今のスタイルになり蔵元さんから直接仕入れるようになって考え方も変わってきて、買っていただいたお客様に喜んでいただくのは当然なんですけど、造り手さんも良い商品を造っていただいてるので、しっかりと利益を確保できるような卸価格で、僕達酒屋もしっかりと利益の確保ができるようになっていかないと、これからの商売はますます厳しくなってくると思います。造り手さんじゃなく酒屋だけが儲ければいいか考えた時に、造り手さんもしっかりと利益を確保してもらわないと存続の危機になってしまうし、本当に良い商品を作り続けていくことや新しい商品を考えていくことができなくなってしまいます。逆に造り手さんだけが儲けて酒屋はどうでもいいのかってなると、そこはお客様に販売するお店がなくなってしまうのでダメだと思います。そして造り手さんと我々酒屋だけが儲けりゃいいのかって事じゃなく、やっぱり最後は飲んでいただけるお客様に喜んでもらえる商品を造ったり販売していかなければいけないんだと思うんです。
誰かだけ良ければいいってことじゃなく、造り手さんはお客様に喜んでもらえる商品を造り、我々販売店は目の前の一人のお客様に喜んでもらえる商品を探し販売し、最終的には飲み手であるお客様が幸せになってもらえるのがベストなんじゃないかなって、大工さんとの世間話をしていて思いました。
なので僕はこれからも来ていただいたお客様に喜んでいただけることをしていきたいと思います!!!